Vol. XI, No. 42 平成十八年四月十七日

本誌32号は、靖国問題で「小泉は中国に敗北」と指摘した。その後、政局はますます不利になっている。中国・朝日・読売による「倒閣運動」は跡継ぎ選びに移行し、支持者は膨れ上がっている。藤原正彦のベストセラーも、「倒閣運動」への追い風だ。鳩山由紀夫は改憲の手続き法案は小泉が辞めた後の国会まで延期するという。だが、何といっても小沢が決め手だ。彼は09年選挙を待たずに、9月の自民総裁選に介入する用意だ。私が予告したように、靖国が踏み絵になる。安倍晋三が福田康夫に負ける可能性が出てきた。中国政府が日本の総理を選ぶ日が来たら私は日本市民でありたくない。

(1)発端は、01年自民総裁選で、票稼ぎのために靖国参拝を約束したことだ。女性の票稼ぎのために、女系天皇を支持したのと同じだ。軽率だった。皇室典範は国内問題だから斬り捨てが出来たが、靖国は足かせになった。

(2)02年春にブッシュが総理応援のために来日した。だが彼は靖国に一緒に参拝することを断り、代わりに明治神宮を訪問した。総理は、ここで東条分祀に踏み切るべきだった。「靖国神社が自主的に決めることだ」などというのは口実にならない。

総理は嵌められたのである。中国が「止めろ」と怒鳴った時に、参拝は面子の問題となり、止められなくなった。中国の罠に嵌められたのである。総理は前後を考えずにかっと怒ったのだ。参拝継続で、米・中vs.日本の構図ができた。

(3)それでも総理が勝つことは可能だった。そのためには、国内の世論が100パーセント参拝を支持することが必要だった。だが現実の世論は、五分五分で割れていたのだ。半分が潜在的に中国支持なのだ。

(4)総理は「止めろ」と怒鳴られて、止める道を封じられた。ここで参拝すれば勝利だ。それにはブッシュと一緒に参拝すればよかったのだ。分祀すればブッシュは喜んで参拝しただろう。これにはレーガン大統領の前例がある。[1]

(5)昨年8月、ハリケン・カトリナの失態で、ブッシュは劇的に弱体化した。彼は小泉への無条件支持をつづけることは不可能となる。これは単純な軍事問題である。イラク・アフガニスタンで手一杯のブッシュは、他の火種(二正面作戦)が怖いのだ。

(6)そこで、遂にブッシュは小泉に警告を出した。去年11月に京都訪問するにあたって、言明した。[2] 「米国は、小泉首相の靖国神社参拝による日中、日韓の関係悪化がアジア戦略の阻害要因となり、アジアにおける米国の国益に反する、とみている。大統領は日米関係を例にひきながら、『過去を忘れることは難しいが可能だ』と述べた」

(7)朝日はブッシュが小泉に引導をわたしたと知るや、読売の渡辺恒夫を雑誌「論座」の座談会に招待して、倒閣運動を始めた。「論座」2月号が今年正月に店頭にでるや、倒閣運動は国会に広まった。

(8)国会の倒閣運動は「ホリエモン、耐震偽装、牛肉」の三点セットで始った。次に、民主党による「メール疑惑」に飛び火したが、事実無根とわかり、前原民主党代表が辞任した。ここで小沢一郎の登場となる。

(9)ほとんど同時に藤原正彦の「国家の品格」がベストセラーとして登場したが、朝日は小沢と藤原を褒めそやした。なぜか?反小泉の統一戦線を拡大するのが目的だ。ワタツネ、小沢、藤原は、朝日にとって「敵性人物」だ。だからこそ抱き込むのだ。[3]


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