アメリカ通信特別掲載
Vol. X, No. 139 平成十六年十一月二十五日

ウクライナ選挙は米ロの覇権争い

国際関係はジャングル

ウクライナでの大統領選挙がもめている。ロシアのプーチンが支持するクチマ元大統領が勝ったら、負けたヤヌーコヴィッチがパウエル国務長官の支持をテコにして、「不正選挙」は認められないというのだ。

ソ連崩壊後、アメリカはバルト三国(エストニア、ラトヴィア、リトアニア)を盗り、東欧諸国(ルーマニア、ポーランド、チェコ共和国、等々々)を盗り、今やウクライナが盗りたいというのだ。しかも、このアメリカの野望にはシラクとシュレーダが相乗りしている。

これが国際関係の真相なのである。この世界はジャングルなのだ。弱肉強食なのである。ロシアに5000発の核兵器がなかったら、アメリカはとうの昔にNATOを率いて攻め入ったであろう。

だから日本に真の軍備が必要なのだ。改憲が必要なのだ。そのためにはブッシュと協力することが不可欠なのである。国連と、シラクと、朝日と一緒になって、世界最強の国と争うほどの力は、今の日本にはないのだ。フランスに頼るのは痴呆症だ。

日米関係もジャングル

古き良き日の日米戦争から一断片

若い人たちは知るまい。十五年前まで日本は、アメリカとの第二の戦争をたたかっていた。お金をふんだんに毟り取られて負けた。第二の敗戦を阻止するには、日本がアメリカの「同盟国」になって、ペンタゴンを味方にする以外に方途がなかった。

アメリカは「同盟国」に一番あまくて、親切なのである。しかし竹下登という県会議員には、アメリカから身を守るために、自衛隊を海外派兵するなどという発想は理解できない。それで必死になって御用金を払った。そして負けたのだ。

私の膨大なファイルの中に、当時のアメリカの風潮を如実にものがたる文献がある。ニューヨークタイムズに出たコラムだ。ジャングルの雰囲気が判るだろう。英語の勉強に役立つように、日英並列する。

"Blame the Japanese"「日本人を責めよう」・詩 (1992年)

When the phone is out of order, and the roof has sprung a leak,

電話が故障して屋根が水漏れする時

When the money in your paycheck barely gets you through the week,

お前の給料では一週間生き延びるのが精一杯な時

When the baby has the colic, and your dog is full of fleas,

あかんぼが腹痛を起こし、犬は蚤だらけの時

Don't complain to Washington-just blame the Japanese.

ワシントンに苦情をいわないで、ただ日本人を責めよう

When the crooks are running rampant, and the judges are too lax,

まわりがペテン師ばっかりで、判事がいい加減な時

When letters from the I.R.S. demand some extra tax,

税務署からの通知がきて追徴課税を求める時

When your son is quitting college, and your daughter's getting D's,

息子が大学から落ちこぼれ、娘の成績が「可」だけの時

Just do what Iacocca does-and blame the Japanese.

アイアコッカ(クライスラー会長)の真似をして、日本人を責めよう

When your taxes keep on rising, while your bank-book starts to shrink,

税金が増えるのに銀行の口座が空っぽの時

When pollution clouds your city, so the air begins to stink,

住む町は汚染で曇り、空気が悪臭を放つ時

When the temperature is falling, and your pipes are sure to freeze,

気温がさがり、水道管の凍結が避けられない時

Call upon your Congressman to bash the Japanese,

お前の議員を呼び出して、日本たたきの陳情をしよう

When everyone around you is complaining of the news,

周囲の誰もが(悪い)ニュースに不平をいう時

And some condemn the Arabs while others blast the Jews,

そしてある者はアラブを糾弾し、ある者はユダヤを攻撃する時

Stiffen up your lip, my son, and never bend your knees-

わが息子よ、まなじりを決して膝を曲げるな

Just be a true Aemrican, and blame the Japanese.

本当のアメリカ人になって、日本人を責めよう

日米関係はジャングル・その2

ラッセル・べーカー・「敵を求める飢餓」

Japan, be warned: America has an enemy habit. It has just spent a quarter of its lifetime cultivating this habit and, with Soviet Communism, dead, it is suddenly like the cigarette fiend in need of smoke. 

日本に警告する。アメリカには敵癖がある。今、この癖を育んで生涯の四分の一を過ごしたばかりだが、ソヴィエト共産主義が死んだので、タバコ中毒のニコチンが切れたみたいだ。. . . . . . . . . .

Giving up the Soviet enemy has been so hard for Americans that many simply refused for the longest time to believe what Mikhail Gorbashev was telling the world: that the old monster was on the rope, knees buckling, in danger of never getting up again.

ソヴィエトという敵を諦めるのがアメリカには余りに辛かった。それでミハイル・ゴルバチョフが世界中に告げたことを信じるのを長らく拒否してきた。つまり古いモンスターは衰え、膝を曲げ、再起不能の状態なのに。 . . . . . . .

Which leaves Japan. Poor Japan. It makes such a splendid enemy for a country in need of a long-term fix. All that money the Japanese are making, and treating us ungenerously too. After all we did for them, the ingrates! What's more, they are starting to publish unflattering criticism of us. How is that for insolence? 

残るのは日本だ。哀れな日本よ。長期中毒になった国にとって、日本はかっこうの敵になる。あれほど金を稼いでいる日本が、われわれにはけちだ。彼らをあれほど助けてやったのに、恩知らずめ。その上に、彼らはあら探しのアメリカ批判をしている。傲慢とはこのことだろう。

Japan must watch its step. America needs an enemy fix." 日本は自分の歩みに気をつけろ。アメリカは敵という注射が要るのだ。

上記の二つは共に風刺であり、揶揄だ。しかし、実情はこの通りだった。タイムズは風刺を使って、本音を言ったのだ。日本にユーモアがないのは発想の硬直化を意味する。敗戦から2004年までの60年間、金だけ儲けて軍事協力を拒絶するのでは、叩いてくれと頼むようなものだ。それで負けたのだ。

現在の日米関係は、日本が破産して禁治産者、或いはモラトリアム国家になり、アメリカの監視下にあるようなものだ。日本人の大半が、拗ねて、ふくれて、俗世界を解脱しようと思っている。

アメリカ操縦法について、また書きます。