片岡鉄哉のアメリカ通信

Vol. XII, No. 91 平成十八年九月二十八日

  • The Times and Post Against Abe
  • タイムズも安倍に助言 [1]
  • 深まる米中vs. 日本の亀裂

「もし日本の新総理・安倍晋三が去り行く前任者小泉純一郎と同じくらいに愛されて成功したいのなら、安倍は失敗した過去の政策を捨てることでも、小泉と同じくらい勇敢でなければならない。安倍の出発点は明らかに中国との割れた関係を再構築することだ。

・・・・略・・・・

  • 解説

前号で紹介したポストの論説と同じく、これは非常に友好的な助言としてとるべきであろう。双方とも阿部内閣の誕生に期待しているのだ。

アメリカのリベラルが、日本のA級戦争犯罪を語る時には、必ず真珠湾への奇襲攻撃(先制攻撃)を避ける。そして日本の中国に対する残虐非道を語る。前者は「平和に対する罪」そのものであり、後者は「人道に対する罪(B, C 級)」である。

アメリカが自分に対する攻撃を語らず、対中攻撃だけを語るのは何故か。それはあたかも、真珠湾攻撃を戦争犯罪にしたことを恥じているかのようである。


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Vol. XII, No. 90 平成十八年九月二十六日

  • 「歴史で安倍は極端化した小泉だ」・ポスト [1]
  • 快刀乱麻の解決できない日本政府
  • 総理は内弁慶アドヴァイザーを解雇せよ

総理に就任する安倍晋三を、ワシントンポストが論説で批判した。以下は翻訳である。

・・・・略・・・・

  • 解説

私は東京裁判が最終的な正義であるとは思っていない。ジョン・W・ダワーもそうは言わない。戦争とは頭脳と力で決るものだ。同時に、国際的な秩序も、究極的には勢力均衡の反映に過ぎない。

この意味で、正義とは相対的であり、北極星や南十字星のように永遠・絶対ではない。例えば、パックスアメリカナの崩壊は既に始っているかもしれないのだが、そうなれば東京裁判も意味を失うことになる。


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Vol. XII, No. 89 平成十八年九月二十四日

  • Waiting For A Pearl Harbor, Japan Tries To Be Reborn
  • 安倍、解釈改憲「五年近く」の真意は?
  • 支持も反対もなしで握りつぶしたい野党
  • やはり戦争なしの改憲は不可能

朝日は「安倍官房長官、改憲に『5年近く』」と報じている。[1] 当面は解釈改憲で既成事実をつくりあげるというのだ。彼の判断では、小沢民主党は現在のノラリクラリを続けるだろうということだ。つまり、改憲に賛成も反対もしないで、責任を回避しつつ、握りつぶす。この野党を改憲に追い込むには、焙り出ししかない。外からの侵略を使って世論を動員し、「護国か、売国か」の二者択一を迫るのだ。5年の間に戦争は必ずくる。


やはり戦争なしの改憲は無理?
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Vol. XII, No. 88 平成十八年九月二十二日

  • Is Asahi Really Liberal?
  • Or A Reincarnation of Herbert Norman
  • And His Regicidal Inclinations?
  • 朝日は本当のリベラルなのか
  • 踏み絵としての「天皇制支持」

現在、日本の政治構造は急激に変化しつつある。全てが星雲のように渦を巻いている。結果がどうなるかは判らない。小泉が自民党の保守本流を「ぶっ壊した」のが転機になった。保守本流とは吉田学校の別名だが、1972年以降、どぶ板政治家が本流になった。つまり田中派が中道で、右派と左派の均衡を維持してきた。この中道を「ぶっ壊した」ことで、小泉は右派を最大の政治勢力に盛り上げた。左派は社民党だったが、自滅した。その空白を朝日新聞が占拠している。これが現在の構図であり、大問題なのだ。朝日のDNAには「天皇殺し」が入っている可能性があるからだ。


中道の消滅で日本の政治はどうなる?
立憲君主制こそ政治の要。
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Vol. XII, No. 87 平成十八年九月二十日

  • 法王、イスラムに手榴弾を投げる
  • ブッシュとカトリック教徒に激励
  • バチカン外交の優雅な権力闘争

法王ベネディクト16世は、9月12日、係争中のキリスト教vs.イスラム教の宗教戦争に手榴弾を投げつけた。1391年にビザンチン皇帝の言った言葉を引用して、法王は言った。「モハメッドがもたらしたもので新しいものがあったら見たいものだ。彼のもたらしたのは悪と非人道だけでないか。例えば、信仰を剣で広めよという教えだ」。中東からの反応は半狂乱なものだった。法王は陳謝しているが、発言は撤回していない。これは周到に計画された法王庁外交の一環なのである。いうべきことを言ったのだ。日本の祭司(天皇)のように無色透明、人畜無害では尊敬されない。


権力がなければカリスマはない!
天皇の権威の為に必要なこととは・・・。
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Vol. XII, No. 86 平成十八年九月十七日

  • 安倍の小泉(竹中)路線反対で
  • 慌てた朝日が軌道修正 [1]
  • 「格差」攻撃から「民営化」後押しへ

朝日は小泉改革が社会格差を拡大するという理由で、今年の年頭から攻撃してきた。「官から民」への動きは、自民党が築いてきた金太郎飴社会を破壊する。だから問題だというのだ。ところが安倍晋三が登場する。彼は小泉路線修正にコミットしている。「官から民」への動きに反対し、自民党の現状を是認する。ここで朝日は怖くなったらしい。首になった竹中に名残りを惜しむかの如くに、「『官から民』への風止めるな」と騒ぎ出した。


朝日新聞の軌道修正の意味するものは?
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Vol. XII, No. 85 平成十八年九月十四日

  • 松井のヤンキース復帰に思う
  • 日米関係と歴史問題

復帰した松井秀喜は四本の連続ヒットでヤンキー・ファンを熱狂させている。これでいいのだ。これが日本の前途だ。日米は更に平等に、更に交じり合い、更に強くなり、更に繁栄する。だからといって、日本が植民地になるはずがないことは経験ずみだ。他方、日本でバブルが崩壊し、全てが停滞し、世界から軽蔑されているのに、過去にこだわり、「論理よりも情緒、英語より日本語、民主主義より武士道」などと嘯くのは、見え透いたデマゴーグであり、敗者の逆恨みだ。逆恨みで勝てるならいいが、勝てなかったではないか。橋龍を見よ。日本は前進するのだ。勝つのだ。繁栄するのだ。

(1)歴史というものは一度起きたら永遠である。真実は真実だからだ。中国政府も、アメリカ政府も、文部科学省も、朝日新聞も、それを修正することはできない。日米開戦の真相、ヒロシマの惨劇は真実として永遠に残るのだ。

歴史に対する私の態度は「ディプロマシー」の著者ヘンリー・キッシンジャーと同じものだ。真実を追究するのが私の義務であり、これを捨てれば生きている意味を失う。同時に、日米間の公共の場(パブリック・ドメイン)で真実を語るわけにもいかない。だから「後世史家の判断に任せる」という処方箋をとる以外に方途はない。一種のダブル・アイデンティティーだ。

私が安倍晋三に関して持つ不安は、彼が公共の場においても、シングル・アイデンティティーに近いように見受けるからだ。

(2)歴史と正義には、もう一つの次元がある。もし(1)の意味での歴史が古典的な、静的な、永久不変な正義であるとすると、もう一つの歴史は近代的な、動的な、政治的な歴史だ。一方はアリストテレスが代表し、他方ははヘーゲルのものだ。

それは、「力は正義だ(Might is right)」、「勝てば官軍、負ければ賊軍」という規範である。アリストテレスとヘーゲルは相容れないが、双方とも絶対無視できない。特に国際関係を理解する上でヘーゲルは不可欠である。

法律、司法、警察などは主権国家の中にしか存在しない。国際間には無いのだ。国際間に法律が機能するというのは大愚であり、危険思想でもある。国際関係は、正直言うと、武力で決る。「善きにつけ、悪しきにつけ」武力で決る。

ここで「善きにつけ、悪しきにつけ」という判断は、アリストテレスの物差しである。アリストテレスはヘーゲルから独立している。キッシンジャーと私がルーズベルトの正義から独立孤高を維持しているのと同じだ。

しかし武力統治が長続きする場合、必ず正当化される。例えば、日本はアメリカが日本征服を通じて築いた秩序、パックスアメリカナをおいそれと放棄できない。今や日本の利害が密接に絡んでいるからだ。

松井秀喜は素晴らしいという理由がここにある。イラクに派遣された自衛隊の番匠幸一郎陸将補も同様だ。吉田の非武装憲法は、日本がただ乗りして貿易戦争に勝っている間は我慢できる。許せないのは、情緒として、負けていても、過去にこだわる日本民族の馬鹿さかげんである。

正義と歴史を忘れてはならない。同時に、勝っていなければならない。勝ってこそ歴史が書けるからだ。戦争に負けながら、歴史の修正主義で勝とうというのは、結局のところ、もう一度戦争に勝つか、或いは過去は過去として諦めることになる。


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Vol. XII, No. 84 平成十八年九月十日

  • The Central Truth 真実の核心
  • タイムズのフリードマン[1]

「簡単に言うと、イラク戦争とは、スン二派が『一人一票』の原則を拒否したことから始った。その理由は多数派のシーア派が初めて政権をとるのは目に見えていたからだ。フセイン大統領を含むスン二派主流にとって、シーア派はイスラム教の『賎民』[2] であり、スン二派による統治は絶対許しがたいのだ。イラク戦争初期 に、スン二派アラブの有名人が私に内々で指摘したものだ。『フリードマン、シーア派は本物のムスリムではないよ』と。


イラク国民は反米になったか?
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Vol. XII, No. 83 平成十八年九月三日

  • 毛沢東と南京大虐殺はどこにいった?[1]
  • 中国、歴史教科書の大幅修正
  • グローバル・ハイテク・近代化が前面に

今秋、上海の高校で歴史の教科書を開く学生たちはびっくりするかも知れない。新しい教科書から戦争、王朝、共産主義革命が抜け落ち、その空白を埋めるのはテクノロジー、経済、社会慣習、グローバリゼーションである。プロレタリアート独裁の国家において、どうしてこれほどの急旋回ができるのか。答えは、独裁国家だからこそができるのだ。・・・

   ・・・・・中略・・・・・

現下の日本のニーズは中国の逆である。我々は未だに平和主義に縛られた国家であり、国を守ることができない。小泉純一郎の「靖国参拝」も、安倍晋三の「美しい日本」も、後ろ手に縛られながらも憲法改正をするための手段と見てよい。

最低限の愛国心がなかったら、公共善という概念は優先しないのだ。


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安倍晋三の経済政策を心配するアメリカ
経済政策を誤ると憲法改正が危なくなる!?

Vol. XII, No. 82 平成十八年九月一日

  • So Pro-American And So Pro-Japan
  • Will PM Abe Divide Against Himself, Or Won’t He?
  • 安倍内閣はどちらを選ぶのか
  • 1)政権と赤心の二者択一で割れる
  • 2)親米一辺倒で割り切る(岸信介流)

小泉純一郎という例外を除いて、安倍晋三ほど親米で、アメリカの支持に依存する総理はいないだろう。しかし同時に彼は大きな自家撞着(矛盾)をはらんでいる。潜在的に彼ほど「反米的」な総理もいないのである。「日本において彼ら(A級戦犯)が犯罪人であるかといえば、それはそうではないということなんだろう」というのだ。[1] 安倍は小泉よりはずうっと右の端に位置し、筋金入りのナショナリストである。彼がこの矛盾をどう捌いて行くのかが将来を左右するだろうと私は憂慮している。


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08年米・民主党政権が誕生したら・・・
憲法改正を掲げる安倍晋三が避けて通れない問題とは?
独立国家への道を開けるか否か?憲法改正への道は国際政治で決まる!

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