片岡鉄哉のアメリカ通信

Vol. XII, No. 72 平成十八年七月二十九日

  • 天皇の合祀に対する「不快感」
  • その背後にある重大機密決定
  • 公開論争が語らぬ要素を知れ

昭和天皇が、東条英機の靖国合祀に対して「不快感」を示されたと宮内庁長官がメモしていた。この事実が公開されてから、陛下の単なる「不快感」に懐疑をはさむ人士があるようだ。しかしこの事実の背後には、日本国家のとった重大な機密決定が隠されていて、後者は公開できないものと見える。日本政府は「国体」、つまり万世一系の天皇制を守るためにポツダム宣言を受諾したのであり、靖国神社も国会も、本決定に縛られるものと私は見ている。

SCAP GHQが戦争犯罪容疑者の逮捕を開始した時点で、マッカーサーと日本政府は重大な決定を極秘で下すことを迫られた。それは昭和天皇に immunity(無罪)の地位を与えるために、容疑者の尋問や、答弁が、陛下に対する容疑を示唆したり、強化してはならないという点だった。

これにはキーナン検察官も同意しており、或る日、東条が「陛下の同意なくして我々は如何なる決定も下せなかった」と証言した時に、キーナンが木戸を通じて、巣鴨の東条に注意するように再度促したという。

陛下を庇う決定には、近衛文麿、吉田茂たちが参画していたとダワーは指摘している。[1]

上記の日米合意に対して、その内容が正義に反するものだという議論は可能かもしれない。しかし、この決定を蒸し返すことを望む者は、この日米合意が存在していたという事実をかみしめるべきであろう。「国会が無罪とさえ決議すれば、それに反する全ての前例は無効だ。誰でも無罪だ」という靖国特攻隊の理論は通用しないだろう。


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Vol. XII, No. 71 平成十八年七月二十七日

  • 然り、イランはトラブルメーカー
  • だがイランを解放したのはブッシュ
  • ネオコンと純正保守の差異

読者は知っているだろうか。ブッシュ41は、ブッシュ43のイラク侵略戦争に公開の場で反対したことを。ブッシュ41の代まで、米国政府の政策は、イランとイラクをサソリとガラガラ蛇と見なし、両者を咬みあわせて地域均衡を図ることにあった。湾岸戦争の時、ブッシュ41は、フセインのイラク軍をクエートから駆逐するだけで、矛を収めて帰国した。バグダッド占領を避けて、弱体化したフセインに生存のチャンスを与えている。息子は、このイラ・イラ均衡を破壊することで、イランを解放したのだ。


ネオコンと純正保守の差異
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Vol. XII, No. 70 平成十八年七月ニ十六日

  • いったいこれは何なのか
  • 日本の対米「屈折感」
  • 朝日の編集員、星浩の例

日本人が対米関係を語る時に屈折感という表現をよく使う。朝日の編集員、星浩が屈折感について書いているので、紹介する。以下は原文のままの摘要である。[1]


日本の対米「屈折感」が日本を誤らせる!?
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Vol. XII, No. 69 平成十八年七月二十日

  • 中東擾乱の震源地はイラン
  • 核の野望を隠蔽する煙幕
  • シリアが同調か

中東各地で急に擾乱・戦火が広がっている。日本語の解説を聞いていると何がなんだか判らないだろう。震源地はイランだ。イランはペルシャ民族であり、アラブ民族でない。だが、イスラム教のシーア派である。私が入院する前(5月中)にアーマデニジャッド大統領がブッシュに親書を送り、訳の判らない合意を求めていると指摘してある。あれは尻切れトンボになったらしいのだが、イランは今でも米欧による反核兵器の圧力をかわそうと必死だ。この度は、レバノンのヒズボラ(シリアの手下でシーア派の民兵)とパレスチナのハマス(スン二派)を扇動して、イスラエル攻撃を始めた。これがイランの煙幕であり、ブッシュの対イラン先制攻撃をかわそうと必死なのだ。


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Vol. XII, No. 68 平成十八年七月十四日

日本核武装へのロードマップ・特集

  • 北鮮の核は野放し、イランだけに専心
  • ブッシュの戦略構想
  • 何を考えているのか
  • 昨夜、アメ通速報を送付した。『中国が北朝鮮制裁決議案を安保理で阻止。プーチンはイラン制裁にはG8サミット中は賛成。イラン制裁について、中国はプーチンを支持している』つまり、明らかに中国は北朝鮮の制裁に反対するが、イランの制裁なら受け入れるということらしい。そしてブッシュ大統領も、最後の一線は、北朝鮮でなくイランで引きたいらしいのだ。米国はイランだけに報復攻撃をする用意があるという意味に取れる。何故か。

    先ず、アメ通67号のFour Scenarios, and Not One Ends Happily 四つのシナリオで、ハッピー・エンディングは一つもない[1] をもう一度吟味しよう。


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    Vol. XII, No. 67 平成十八年七月十三日

    • 自衛隊は足止め令か、現在
    • 米軍は希薄なり

    現在、自衛隊の全隊員に対して、defcon 1 (defense condition 1) と同類の足止め令が掛かっているはずである。(米軍には defcon 1~5 があり、defcon 5 は合戦準備の意味である。)これはブッシュが非常に危険な綱渡りをしており、世界中の誰もがそれを意識しているからだ。


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    Vol. XII, No. 66 平成十八年七月十一日

    • 予想できるアメリカの報復措置
    • ポスト小泉の改憲が失敗したら

    まもなく辞任する小泉総理への自民党反乱が始った。最後の骨太の方針は、前例に反して党主導となり、竹中平蔵は棚上げされた。次に、武部幹事長は、総理に対する事実上の反乱宣言を出した。だが、もし自民党が小泉改革の核心である憲法改正を阻止できると思っているのであれば、とんでもない誤算である。

    ブッシュが「集団的自衛権を行使せよ」と日本に呼び掛けたのは00年、大統領選挙の最中だった。小泉はそれに応えて01年の自民党総裁選に挑戦し、憲法改正と自民党「ぶっ壊し」を公約している。ここで日米両国は軍事同盟を建設することで契約を交わしたと見てよい。この契約を自民党が破棄した場合、アメリかが「イエスサー」といって日本の保護を続けることはあり得ない。

    大型の報復が来ることが予測できる。戦後、アメリカと同盟した国の中で、大衝突を一度ならず、二度も経験したのは日本だけだ。最初は、72年のニクソンショックだ。次は、レーガン政権二期目(85-89年)の貿易戦争で、これに敗退した日本はバブルによって崩壊している(第二の敗戦)。 

    日米紛争の火種は不戦憲法であった。そして紛争の度にアメリカは政権転覆をしかけてきた。これほどの酷い仕打ちを受けたことを悲憤慷慨するのもいいだろう。同時に、日本人ほどずぼらで、独りよがりで、歴史を忘却した民族も例がない。この独立忌避の原点はアメリカへの甘えである。60年代、朝日の社説は「負けてよかった」と言っていたが、あれこそが原点なのだ。


    今、改憲に失敗したら日本はどうなる?
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    Vol. XII, No. 65 平成十八年七月十一日

    • 最後の骨太は自民主導という怪
    • その途端に竹中は消え武部の裏切り
    • 国民に真実を告げない小泉の弱点

    小泉改革の突破口だった骨太が7日発表された。小泉にとって最後の骨太だ。しかしこれまでの骨太と違う。先ず竹中平蔵は主導権を失って、ぼやいている。朝日は「最後は党主導・首相、課題ほぼまる投げ」[1]と指摘。おかしいと思って調査を始めた今日、武部幹事長の小泉うらぎり宣言が出た。去年の総選挙で「刺客」を送って「暗殺」したはずの反小泉議員は、「改革」に協力するなら復党を許すというのだ。国民に真実を告げない小泉の弱点だ。憲法改正の話も増税の話も怖くて、触れていない。ただかっとなって自分の政治生命を賭けた選挙だった。泡だったのか。


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    Vol. XII, No. 64 平成十八年七月十日

    • テポドンIIには「異常なし」
    • アメリカ側が評価 [1]

    私は指摘しておいた。ロケットは最初から成功するものでない。失敗から大事な飛行データを入手するのが主な狙いであると。今日のタイムズは、「北朝鮮が十回テストして十回失敗したら笑いなさい」という。

    ・・・・・ただ変なのは、どうしてアメリかの旗艦新聞が金正日に対して慈悲深いのかということである。・・・・・


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    Vol. XII, No. 63 平成十八年七月八日

    • やっと解けた謎
    • なぜ昭和天皇は元首として君臨したのか
    • 護憲・改憲の綱引きの焦点

    敗戦後の昭和天皇が事実上の元首として君臨したという事実は異常である。何故そうなったのかを追求してきたが、やっと解答が見つかったので紹介する。先ず、マッカーサーと米国政府が、憲法に関して衝突していた事実がある。マックは護憲、米国政府は改憲だ。吉田の官僚国家が主権者だったが、吉田は護憲一辺倒だった。吉田に影響力を行使できるのは天皇たった一人だった。だから天皇を使って吉田の護憲政策を、引っくり返そうとしたのだ。そのために、天皇を「大元帥陛下」であるかの如くに扱ったのだ。

    先ず証拠物件を提出する。[1]


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    Vol. XII, No. 62 平成十八年七月七日

    • 中国大使に裏切られた首相
    • 靖国で突っぱねた本当の理由
    • でもこれは反発で、政策ではない

    小泉総理が靖国問題で、六年間、中国を突っぱねてきた本当の理由が遂に判明した。01年の8・15参拝が大問題になった時、彼はYKKを招集した。山崎拓、加藤紘一、小泉の三人だ。山拓と加藤が、武大偉中国大使を呼んで相談し、参拝前倒しなら北京が受け入れるというアグレマンをだしたのだ。そして小泉が8・13に前倒し参拝をしたら、中国が裏切ったのだ。

    そこで小泉は、中国を信頼して譲歩すると、相手は図に乗って、更に大きな譲歩を求めるという不信感を強めたのだ。01年8月だから政権初期だ。彼はこの経験を今まで忘れなかったことになる。


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    Vol. XII, No. 61 平成十八年七月六日

    • 成功だったら今頃は戦争か
    • 失敗したテポドンII、怪我の功名
    • 平壌で責任追及の粛清は必至

    テポドンIIは三発目で、35秒飛んで落下した。これで芽出度し、めでたしに成りそうだ。茶番劇に相応しい大団円か。軌道から判断してアラスカを狙っていた。日本列島に沿って北上するのが米西海岸への最短距離であり、すべてのエアラインが取るコースだ。テポドンが成功していたら、ブッシュはミサイル迎撃ミサイルを発射することを余儀なくされただろう。だが、それが命中していたら、金正日は「あれは偵察衛星の打ち上げだ」と称しであろう。とすると対米宣戦布告を余儀なくされただろう。日本人の大半は、「とんでもない迷惑だ」と尻をまくりながら「非核三原則」を金正日も守って欲しい」と言ったであろう。

    北朝鮮の大陸間弾道弾が失敗するのは笑うに値しない。彼らは貧乏だから高価な実験は何十年に一度だ。日本のロケットは今でも失敗している。初期のアメリカのロケットも失敗している。


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