片岡鉄哉のアメリカ通信

Vo. X, No. 140 平成十六年十一月二十七日

1ドル50円の時代が来る

開き直ったブッシュ

避けられないものは美化される

"When Weakness Is a Strength"とモルガン・スタンレーの経済学者スティーヴン・ローチがタイムズで言う。「弱さが強さになる時」とは開き直りだ。ローチはブッシュ政権の代弁をしている。

アメリカの経常収支は、年に6650億ドルの赤字、今年の第二四半期ではGDPの5.7%だった。ローチはブッシュ政権と、連邦準備銀行のアラン・グリーンスパンがドル安に暗黙の合意をしたと指摘する。言わずもがなの事実だ。

Vol. X, No. 139 平成十六年十一月二十五日

ウクライナ選挙は米ロの覇権争い

国際関係はジャングル

ウクライナでの大統領選挙がもめている。ロシアのプーチンが支持するクチマ元大統領が勝ったら、負けたヤヌーコヴィッチがパウエル国務長官の支持をテコにして、「不正選挙」は認められないというのだ。

ソ連崩壊後、アメリカはバルト三国(エストニア、ラトヴィア、リトアニア)を盗り、東欧諸国(ルーマニア、ポーランド、チェコ共和国、等々々)を盗り、今やウクライナが盗りたいというのだ。しかも、このアメリカの野望にはシラクとシュレーダが相乗りしている。

これが国際関係の真相なのである。この世界はジャングルなのだ。弱肉強食なのである。ロシアに5000発の核兵器がなかったら、アメリカはとうの昔にNATOを率いて攻め入ったであろう。

だから日本に真の軍備が必要なのだ。改憲が必要なのだ。そのためにはブッシュと協力することが不可欠なのである。国連と、シラクと、朝日と一緒になって、世界最強の国と争うほどの力は、今の日本にはないのだ。フランスに頼るのは痴呆症だ。

日米関係もジャングル

古き良き日の日米戦争から一断片

若い人たちは知るまい。十五年前まで日本は、アメリカとの第二の戦争をたたかっていた。お金をふんだんに毟り取られて負けた。第二の敗戦を阻止するには、日本がアメリカの「同盟国」になって、ペンタゴンを味方にする以外に方途がなかった。

アメリカは「同盟国」に一番あまくて、親切なのである。しかし竹下登という県会議員には、アメリカから身を守るために、自衛隊を海外派兵するなどという発想は理解できない。それで必死になって御用金を払った。そして負けたのだ。

私の膨大なファイルの中に、当時のアメリカの風潮を如実にものがたる文献がある。ニューヨークタイムズに出たコラムだ。ジャングルの雰囲気が判るだろう。英語の勉強に役立つように、日英並列する。

"Blame the Japanese"「日本人を責めよう」・詩 (1992年)

When the phone is out of order, and the roof has sprung a leak,

電話が故障して屋根が水漏れする時

When the money in your paycheck barely gets you through the week,

お前の給料では一週間生き延びるのが精一杯な時

When the baby has the colic, and your dog is full of fleas,

あかんぼが腹痛を起こし、犬は蚤だらけの時

Don't complain to Washington-just blame the Japanese.

ワシントンに苦情をいわないで、ただ日本人を責めよう

When the crooks are running rampant, and the judges are too lax,

まわりがペテン師ばっかりで、判事がいい加減な時

When letters from the I.R.S. demand some extra tax,

税務署からの通知がきて追徴課税を求める時

When your son is quitting college, and your daughter's getting D's,

息子が大学から落ちこぼれ、娘の成績が「可」だけの時

Just do what Iacocca does-and blame the Japanese.

アイアコッカ(クライスラー会長)の真似をして、日本人を責めよう

When your taxes keep on rising, while your bank-book starts to shrink,

税金が増えるのに銀行の口座が空っぽの時

When pollution clouds your city, so the air begins to stink,

住む町は汚染で曇り、空気が悪臭を放つ時

When the temperature is falling, and your pipes are sure to freeze,

気温がさがり、水道管の凍結が避けられない時

Call upon your Congressman to bash the Japanese,

お前の議員を呼び出して、日本たたきの陳情をしよう

When everyone around you is complaining of the news,

周囲の誰もが(悪い)ニュースに不平をいう時

And some condemn the Arabs while others blast the Jews,

そしてある者はアラブを糾弾し、ある者はユダヤを攻撃する時

Stiffen up your lip, my son, and never bend your knees-

わが息子よ、まなじりを決して膝を曲げるな

Just be a true Aemrican, and blame the Japanese.

本当のアメリカ人になって、日本人を責めよう

日米関係はジャングル・その2

ラッセル・べーカー・「敵を求める飢餓」

Japan, be warned: America has an enemy habit. It has just spent a quarter of its lifetime cultivating this habit and, with Soviet Communism, dead, it is suddenly like the cigarette fiend in need of smoke. 

日本に警告する。アメリカには敵癖がある。今、この癖を育んで生涯の四分の一を過ごしたばかりだが、ソヴィエト共産主義が死んだので、タバコ中毒のニコチンが切れたみたいだ。. . . . . . . . . .

Giving up the Soviet enemy has been so hard for Americans that many simply refused for the longest time to believe what Mikhail Gorbashev was telling the world: that the old monster was on the rope, knees buckling, in danger of never getting up again.

ソヴィエトという敵を諦めるのがアメリカには余りに辛かった。それでミハイル・ゴルバチョフが世界中に告げたことを信じるのを長らく拒否してきた。つまり古いモンスターは衰え、膝を曲げ、再起不能の状態なのに。 . . . . . . .

Which leaves Japan. Poor Japan. It makes such a splendid enemy for a country in need of a long-term fix. All that money the Japanese are making, and treating us ungenerously too. After all we did for them, the ingrates! What's more, they are starting to publish unflattering criticism of us. How is that for insolence? 

残るのは日本だ。哀れな日本よ。長期中毒になった国にとって、日本はかっこうの敵になる。あれほど金を稼いでいる日本が、われわれにはけちだ。彼らをあれほど助けてやったのに、恩知らずめ。その上に、彼らはあら探しのアメリカ批判をしている。傲慢とはこのことだろう。

Japan must watch its step. America needs an enemy fix." 

日本は自分の歩みに気をつけろ。アメリカは敵という注射が要るのだ。

上記の二つは共に風刺であり、揶揄だ。しかし、実情はこの通りだった。タイムズは風刺を使って、本音を言ったのだ。日本にユーモアがないのは発想の硬直化を意味する。敗戦から2004年までの60年間、金だけ儲けて軍事協力を拒絶するのでは、叩いてくれと頼むようなものだ。それで負けたのだ。

現在の日米関係は、日本が破産して禁治産者、或いはモラトリアム国家になり、アメリカの監視下にあるようなものだ。日本人の大半が、拗ねて、ふくれて、俗世界を解脱しようと思っている。

アメリカ操縦法について、また書きます。

Vol. X, No. 138 平成十六年十一月二十三日

やってくれた総理

中・ロ両国を蹴飛ばしたサミット

米軍撤退の真空を埋める

台湾・東シナ海油田は守る意思

チリ、サンティアゴ・サミットにおける小泉外交の意義を解説する。本誌が指摘してきたように、日本は米軍撤退の真空を埋めて、台湾および東シナ海油田の防衛に責任を持つことになった。東アジアでの地域的勢力均衡に肩入れすることになる。

サミット直前の11月15日、プーチン大統領は歯舞、色丹の二島返還を提示した。これについて、チリで小泉総理と会談するものと期待されたが、実現しなかった。その理由は、四島返還でなければ話し合いは無用だと一方的に宣言したからだった。以下、産経の記事を引用する。

Vol. X, No. 137 平成十六年十一月二十三日

朝日が不思議な沈黙、この数日

社内の意見が靖国で割れたのか

中国原潜の領海侵犯から、チリでのAPEC会議にかけて、朝日新聞が沈黙してしまった。つまり自分の政治判断を抑えて、最小限の事実報道をしていた。中和されたといってもよい。

朝日の社内で、総理の靖国参拝に関して意見が割れていたものと推定する。田原総一郎の「朝まで生テレビ」で世論調査をしたら、過半数が総理を支持したそうだ。それで分裂を隠すために、静かにしていたものと思われる。

参拝を続ける総理は正しいのだ。願わくば、中国歴史教科書の反日宣伝を止めなさいといって欲しかった。ひどいことをやっているのだ、中国は。

Vol. X, No. 136 平成十六年十一月十六日

改憲不履行で報復がくるのか

ニクソンショックIIを考える

私の論文が世界日報の15日版に掲載された。読者の質問に答えてみよう。もし小泉政権が改憲に失敗して、約束不履行になったとしよう。佐藤栄作の約束不履行にはニクソンショックが来た。小泉の日本にブッシュショックが来るのか。

答えはイエスだ。ただし小泉は佐藤と違う。栄作は、沖縄返還と引き換えに繊維輸出の自主規制を確約したが、不履行だった。小泉の場合は、一生懸命に努力したが失敗となる。

Vol. X, No. 135 平成十六年十一月十五日

日本のアラファト像は日本赤軍のもの

米占領に対する怨恨とダブらせる

だが敗者の実像を見よ

日本人も、日本政府もアラファトが好きだった。川口順子外相などは、彼を個人的にお見舞いし、激励・慰労し、かなりの資金を与えたものだった。日本人の庶民感覚に迎合したのだが、実は、あのアラファト像は日本赤軍の作ったものだった。

日本赤軍の全盛期、1972年5月にテルアビブ空港攻撃が起きた。24人が殺され、70人以上が負傷した。その直後にPLOのブラック・セプテンバー集団が、ミュンヘン・オリンピック会場で、イスラエル選手団を惨殺している。世界を震撼させたものだ。

日本赤軍の過激なマルクス理論の底には、イスラエル占領に苦しむ「パレスチナ人民」とアメリカ占領下の「日本人民」がダブっていたようだ。これは日本の護憲派が持つ、対米敗戦への怨恨である。

Vol. X, No. 134 平成十六年十一月十三日

対米核攻撃を予告・アルカイダ www.alm2sda.net を参照

ジェームズタウン財団が公表

「オサマが最新のオーディオ・テープで、アメリカ国民に極道ブッシュを選出するなと警告した。・・・・警告の拒絶は、神の怒りを彼らの頭上に下すことを正当化する。・・・・・核・原子製造は十字軍や西欧の独占でない」

ジェームズタウン財団は、冷戦の間はソ連に関するニュースレターで優れた業績があった。本財団についても、私はフーバー研究所の同僚から知るところとなった。9/11後は、KGBと中東のテロ組織の関連を利用して、アルカイダ系の情報収集をしている。他に、中国に関するニュースレターもある。

Vol. X, No. 133 平成十六年十一月十日

「総理の強気にかげり、躊躇い・原因不明」・アメ通124号

原因は外務省チャイナ・スクール

アメ通124号10/23で「総理の強気にかげり、躊躇い・原因不明」と指摘し、解答を探してきた。総理を脅かすものとして、中国の靖国反対、加藤紘一の靖国反対、公明党の造反、ブッシュの苦戦、等々を調べてみた。

その過程で、本誌が迷走したことを率直に認めて、お詫びする。最終解答は外務省の造反だった。

当初、総理は、米軍再編成に関連して大いに乗り気だった。焦点は、日本の軍事協力を従来の通り、安保条約第六条、極東条項に縛り付けるのか。つまり、朝鮮半島と台湾だけに限定するのか。それともインド洋から中東にまで拡張するのかという点だった。

Vol. X, No. 132 平成十六年十一月九日

小泉改憲工作・中間報告

なぜ米紙は沈黙しているのか

小泉総理の改憲工作でふしぎな点が一つある。それはアメリカのメディアが全部黙殺していることだ。大新聞は必死になって探っている。特に、タイムズは改憲・靖国反対だから探っている。

タイムズは元東京支局長のオカという日本人も駆使して探っている。私の英文ペーパーも読んでいる。だが沈黙している。不気味だ。日本の憲法改正は明治維新くらいの大事件なのだが、沈黙している。以下は私の推理。

Vol. X, No. 131 平成十六年十一月八日

中国礼賛は平均週一回

日本には無視と哀れみ

タイムズの論調

NOVEMBER 7, 2004


TODAY'S EDITORIALS 今日の社説

New Standards for Elections

It's patently obvious that presidential elections should be conducted under uniform rules.

? More Making Votes Count Editorials

No Requiem Yet for Vaccines

At a time when experts are wringing their hands over a huge shortage of influenza vaccine, it is a pleasure to note two significant advances in developing other vaccines.

Vol. X, No. 130 平成十六年十一月七日

改憲失敗ならニクソンショックが来る

世界日報への寄稿論文

「日本の社会と国家の枠組みを変える重要課題がここ一、二年の間に一気に押し寄せてくる」。公明党の幹部が、10月5日の朝日新聞に語っている。小泉総理が進める憲法改正の話しなのだが、敏感な公明党には読めるのだ。ところが自民党には、総理の動きを権力闘争とみなして反対する者がいる。これは余りにも無知で、危険なことである。実は佐藤栄作が米国政府の改憲提案を拒否して、ニクソンショックという一大危機を招いたという不吉な前例があるのだ。

Vol. X, No. 129 平成十六年十一月七日

迫るファルージャの決闘

ブッシュは未だ勝っていない

「天王山」になるのか

ファルージャの町は包囲され、米海兵隊部隊の数千人が攻撃開始の命令を待っている。二次的被害を抑えるために、空爆や砲撃は極力避けて、純粋の市街戦を戦う訓練が現地で行われてきた。

マン・ツー・マンだから、土地勘のある反乱軍は有利だ。海兵たちは従軍宣教師のミサに群れをなして出席している。彼らはアメリカの赤い州、つまりブッシュが票を稼いだ中西部のオハイオ州のような田舎の出身だ。同性愛結婚に反対する社会層だ。

Vol. X, No. 128 平成十六年十一月六日

敗戦のポストモーテム(検死)

ケリーの尻馬に乗って敗北したリベラル達。その総元締めであるタイムズは切歯扼腕、じだんだ踏んで口惜しがっている。

OP-ED CONTRIBUTOR (寄稿コラムニスト)

Why We Lost (なぜ我々はまけたのか) By ANDREI CHERNY

The overarching problem Democrats have today is the lack of a clear sense of what the party stands for. 

民主党が今日直面する最大の問題は、党が何をしたいのかという目標を失ったことだ。

Why They Won (なぜ彼らは勝ったのか) By THOMAS FRANK

Democrats must confront the cultural populism of the wedge issues with genuine economic populism. 

民主党は文化ポピュリズムの切り口に対して、純粋の経済ポピュリズムで対決しなければならない。(10月4日のタイムズから。)

Vol. X, No. 127 平成十六年十一月四日

二期目のブッシュは何をするのか

レガシー(遺産)を残すために

三つの課題・予告

第一に、イラクを「解決」する。シスタニ師とサドル師の率いるシーア派とクルド族(スンニ派)に全面的に、大胆に主権を委譲する。旧フセイン政権のスンニ派の処置は相手の対応にまかせる。

ただし、米軍の一個師団ほどはイラクに駐留する。これはサウジアラビア、シリア、イランに睨みをきかせるため。更に、アメリカの復興資金の支払いをつづける。

Vol. X, No. 126 平成十六年十月三十一日

デッドヒート: 48% vs. 48%

ブッシュが危ない、小泉も危ない。総理が弱気になった理由か

歴史上まれな激戦だ。今日のポストの調査では、48% vs. 48%。デッドヒート(白熱)だ。

タイムズによると、共和・民主両党の判断では、フロリダ、ペンシルヴァニア、オハイオの三州で結論が出るだろうと言う。大都市であるシカゴ、ダラス、ニューヨーク、ロサンゼルスは遠くから傍観していると言う。更に言う。

「究極的には、政治のプロが『地上戦闘』と呼ぶもので勝敗が決まるだろう。つまり、両党の組織が、どれほど効率的に支持者を投票所まで連れて行くかだ」

オサマ・ビンラーデンの脅迫放送も、香田証生の惨殺も、ブッシュと小泉の政治生命を絶とうとする謀略である。

Vol. X, No. 125  平成十六年十一月一日

神よ、ブッシュを祝福し給え

日本改憲の鍵を握る男

「接戦だ、接戦だ」とアメリカのメディアは叫んでいる。接戦だから勝敗の決着は法廷闘争に持ち込まれる、とも言う。数ヶ月間、決着がつかないだろうとも言われる。私は、なんでも構わない。ブッシュが勝てばいい。それほど日本にとって大事な男だ。

だが、アメリカがテロとの戦争に勝つことも日本にとって大事である。ケリーが選挙に勝てば、アメリカは戦争に負けることになる。彼は必ず体裁をつくろって逃げる。アメリカは一度逃げたことがある。ベトナムから逃げた経験がある。あの二の舞をやると、日本は中国によって翻弄されるだろう。

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